終電に運ばれた夜のその先
〜理性は終電に置き去りに〜
第5章 ~魅せた悦び~
【千乃】
きっと……私は耳まで赤くして、なんとか立っているのだと思う。
噛み締めた唇も、ここでは塞いでもらえない。
私の手は、恥ずかしさが滲む顔を覆えない。
だって……スカートをたくし上げてしまったから。
周りの人の目なんか気にも留めずに。
だから気になる……矢代さんの視線。
囁く言葉に熱い吐息が混ざるのは……わざとじゃないのが分かる。
恥ずかしそうに乞い従う私の顔は、「女」だったんだ……。
私を見る矢代さんの目が、「男」だったから。
その目の奥には、
「俺のもの」って烙印を刻まれようとしている……私が映っていた。
目つきや言葉とは裏腹に、
その手指は、声を抑えられるくらい柔らかく、愛でるように撫でていた。
「……っん、……っゅ……っはぁ、……っゅ」
蜜音を閉じ込めるように、
指はそっと、悦びだけを込めて、私の潤う砦をなぞってくれていた。
【矢代】
……見せてくれたんだな、千乃。
お前の――
“濡れてる女”としての姿を。
満員の終電。
周りには、何も知らない顔をした乗客がいる。
その中でお前は、自分の手でスカートを上げた。
俺に見られるために。
俺に触れられるために。
その隙間から覗いた、湿った布地。
薄い布の奥で、隠しきれずに疼いている熱。
それが、俺にはたまらなかった。
「……キレイだよ、千乃ちゃん」
耳元でそう囁きながら、俺の指がゆっくりと、その濡れた布越しに蜜口をなぞる。
力は込めない。
ただ、指先の腹で、濡れている場所を確かめるように擦る。
俺が触れるたび、千乃の腰がわずかに逃げて、でもすぐ戻ってくる。
逃げたいのか。
もっと欲しいのか。
どちらでもいい。
その身体は、もう俺の指を待っている。
「誰かに見られるかもって、怯えながら、それでも俺の指を迎えてるんだろ?」
声に出して言わないくせに、反応だけは正直だ。
布越しでも分かる。
お前はもう、濡れている。
俺の声で。
俺の指で。
「千乃ちゃん……お前、自分で誘ったって、分かってるよな?」
もう、止められない。
指先が、濡れた布の縁を探りはじめる。
次の悦びを、俺に許した証を確かめるために。
第6章 ~消せない蜜音~
【千乃】
「自分で誘ったって、分かってるよな?」
お願い……それは囁かないで……。
耳から犯される感覚が、私の奥で密やかに震える悦襞にまで届くから……。
だけど……その奥からは、自分でも驚くほどの蜜汁が溢れ出ているのが分かる。
それは……滴り、下着を濡らしているに違いない。
彼の指が、濡れ疼いているのを確かめるように。
そして、淫らに震えるのを嗜めるように。
這う。
擦る。
別に、強引に無理やり触れられているわけじゃない。
だけど……私の身体に確認するように、小さく固まるそこを、執拗に捏ね撫でられる。
自らスカートをたくし上げて、触れてもらう。
それは、私が望んだこと。
でも、この言葉は、
私の悦欲を……新たな狂地へ溺れ堕としたかもしれない。
恥ずかしい……。
恥ずかしい……。
恥ずかしい……。
できることなら、ここから走り去りたい……と思う。
でも、身動きもとれず、鼓動だけが速くなる。
けれど、鼓動が速くなるのは……そのせいではないと本当は気付いている。
声を殺しても、息をすることさえ忘れていても、
女の声が漏れてしまいそうになる。
滲み溢れる。
疼き濡れる。
滴り垂らす。
なのに……もっと、もっと……って思っている私がいるから。
もう私の理性を覆う布は、はしたなく濡れ過ぎてしまった。
その向こうで矢代さんの指を待つ入り口が、今、分け広げられている……。
秘めた唇が離れるたびに、羞恥心まで晒されるような音が聴こえた。
ぬちゃ……。
それでも、微かに残る羞恥心が、その口をまた閉じてしまう。
そこを、矢代さんの指がもう一度、ゆっくり裂き分ける。
ぬちゅ……。
閉じては、分け開かれる。
閉じては、また裂き広げられる。
そのたびに、消せない蜜音が私の耳にまで届く。
……もう、その布を避けて触れてほしい。
そう思ってしまうくらい、もどかしさでおかしくなりそう……。
ねっとりとした淫音を聴くたびに、
脚の力が抜けて、わななく。
崩れ落ちそうな自分を支えるために、
彼の胸元に縋って、
余裕がある彼の胸に顔を埋めたかった。
私に、周りの目なんて気にする余裕はもうない。
そうして、普段は隠している女の欲が、
矢代さんを求めて豹変していく……。
今、スーツの下で彼のものがどうなっているのか……。
想像するたび、身体の奥が熱く締まる。
【矢代】
……そうか、千乃。
囁かれるだけで、そんなに濡れるのか。
俺の声が耳から入って、
そのまま身体の奥まで落ちていく。
そう思うだけで、抑えていた欲がじわりと強くなる。
ならもっと――囁くよ。
だってお前の奥の疼きが、
耳から這い降りた俺の声だけで震えてるのを、見逃せるわけがない。
「……震えてるな、ここ――」
指先が、布の上から、入り口をそっと飾る尖り艶めく粒を捉える。
強くはしない。
逃げられない程度に、でも焦らすように。
揺れのリズムに合わせて、ゆっくり擦り続ける。
くちゅ……。
布越しに、蜜の音が小さく立った。
その音を聞いた瞬間、指先にまとわりつく感触が、さっきより明らかに変わっていた。
濡れている、なんて言葉では足りない。
薄い布地が、千乃の熱を吸って、指の腹にぬめるように絡みついてくる。
俺は人差し指と中指を、布越しにそっと揃えた。
そのまま、千乃の入り口の裂け目に沿わせる。
最初は、ただ確かめるように。
次に、少しだけ押し分けるよう裂く。
ぬちょ……。
薄い布の下で、蜜唇が小さく音立ててぬるりと開く。
けれどすぐに、抗うように閉じようとする。
そこを、もう一度開かせる。
人差し指と中指の間に、布越しの柔らかさが逃げ場をなくして、ぬめった熱を押し返してくる。
ぬちゃ……。
たまらなく淫らな音がした。
満員電車の揺れと走行音に紛れるほどの音なのに、俺の耳にははっきり届いた。
千乃が、息を止める。
腰がわずかに逃げる。
でも、完全には離れない。
その反応だけで分かる。
嫌がっているんじゃない。
恥ずかしさに耐えながら、もっと欲しがっている。
そのくせ、俺の指と千乃の熱の間には、まだ薄い布がある。
さっきまで、その布越しのぬめりに煽られていた。
直接ではないからこそ、千乃がどれだけ濡れているのかを想像させられていた。
だが、今はその一枚が、ひどく忌々しい。
触れているのに、触れきれない。
確かめているのに、確かめきれない。
その焦れが、スーツの中でどくどくと脈打つ男の芯を、さらに煽り固めた。
血管まで浮き立たせるほどの昂ぶりが、俺の余裕を内側から削り流していく。
千乃を追い詰めているはずなのに、布一枚に邪魔されて、俺の方がじわじわ追い詰められていく。
けれど、すぐには越えない。
その一枚を忌々しく思いながら、まだ利用する。
千乃を、俺と同じところまで狂わせるために。
そして、もうほとんど残っていない俺の余裕を、悟らせないために。
「千乃ちゃん。もっと、欲しいか?」
声に合わせて、指を一段階だけ強く押し当てる。
入り口の裂け目が、俺を避けるように滑り開き、指は布ごと少しだけ中に食い込んだ。
濡れた熱が、布を通して指先に乗ってくる。
それを感じた瞬間、俺の中の男が、もう一歩踏み込みたがった。
「ここで終わりにするか、それとも――
このまま、俺の指を……もっと奥に迎え入れるか」
選ばせてやる。
終電という檻の中で、
女としての快楽を、どこまで欲しがるか。
さあ、千乃。
お前の身体で答えてみせろ。
【続く】
最後まで読んでくださり、
ありがとうございます🙇♀️
励みになるので、感想お寄せくださると
嬉しいです。
続きが気になってくださったら、
購読よろしくお願いします💕

